今月の法話 平成30年の法話

今月の法話(平成30年11月)


(つき)西(にし)より()でて(ひがし)(てら)し、()(ひがし)より()でて西(にし)(てら)す。佛法(ぶっぽう)亦以(またもっ)(かく)(ごと)し。正像(しょうぞう)には西(にし)より(ひがし)(むか)ひ、末法(まっぽう)には(ひがし)より西(にし)()く。

 

『顕佛未来記』

文永10年5月。祖寿52歳。全:p769 定:1巻p738

仏法西還(ぶっぽうせいかん)

インドのことを、月氏(がっし)国と呼びました。月氏と日本。それ故でもありましょうか、日蓮大聖人さまは、上の聖文で、月と日(太陽)とを譬えとして仏教を説いておられます。つまり、「月」氏の仏教(=釈迦仏教=正法・像法時代の仏教)と「日」本の仏教(=日蓮仏教=末法時代の仏教)です。

仏教を大きく二つに分けると、釈迦仏教と日蓮仏教になるのです。この二つの仏教は、根本的に違っているというのではなく、仏教としての内容に相違はありません。しかし、成仏の手続きについて、別の立場に立ちます。すなわち月氏の釈迦仏教は、覚りによって仏と成る慧解脱の仏教であるのに対し、日本の日蓮仏教は、信仰によって仏に成る信解脱の仏教です。
日蓮大聖人さまは、正法・像法の時代には、月が西から東に移るように(*)、月氏から日本へ仏教が伝わったけれども、末法の時代には、日が東から昇って西へと動くように、日本の仏教が西に還って行く(仏法西還)、つまり、日蓮仏教が世界に広まる、と仰せなのです(現在でも「三国一」という表現が残っているように、三国〔インド・中国・日本〕で全世界のことでした。ですから、日本の仏教が西に還ってインドに至るとすれば、世界全体に日蓮仏教が弘まり、四海帰妙となることを意味します)。

本年十月、日蓮宗霊断師会の第三十九回霊断師大会が、韓国ソウル近郊の寶土寺にて開催されました。かつて、合衆国で九識霊断法の相伝講習会が執り行われたことなどはありますが、霊断師大会の海外での挙行は、初めてのことでした。
仏法西還の一分の実現、とまで言うと少々大袈裟かもしれませんが、創祖行道院日煌聖人の朝鮮半島での事績を鑑みるとき(「聖徒タイムズ」本年8月号2~3面参照)、感慨を禁じ得ないものがあります。
同じく「仏法西還」について示されている御書である「諌暁八幡抄」には「天竺国をば月氏国と申すは佛の出現し給ふべき名なり。扶桑国をば日本国と申す、あに(豈)聖人出で給はざらむ。月は西より東に向へり、月氏の佛法の東へ流るべき相なり。日は東より出で(西に入る)、日本の佛法の月氏へかへるべき瑞相なり。月は光あきらかならず、在世は但八年なり。日は光明月に勝れり、五五百歳の長き闇を照すべき瑞相なり。」と記された上で、「各各我が弟子等はげませ給へ、はげませ給へ」と仰っています。
私たち一人ひとりを鼓舞されておられるのです。

*一夜の間の運動を見れば、月も東から西に移動します(地球が自転するからです)。しかし、毎日同 じ時刻に月を観察すると、形を変えながら(満ち欠けしながら)西から東に移動して見えます(月が 地球の周りを回る公転のためです)。

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