今月の法話 平成30年の法話

今月の法話(平成30年1月)

(それ)(ころも)()をつつみ、(しょく)(いのち)をつぐ。されば法華経(ほけきょう)山中(さんちゅう)にして()みまいらせ(そうろう)(ひと)を、ねんごろ()にやしなわせ(たま)ふは釈迦佛(しゃかぶつ)をやしなひまいらせ(そうろう)法華経(ほけきょう)(いのち)をつぐにあらずや。(中略)されば(かなら)ずよみかかねども、よみかく人を供養(くよう)すれば(ほとけ)になる事疑(ことうたが)ひなかりけり。

『南條殿御返事』

建治2年3月。祖寿55歳。全:p1019 定:2巻p1146

供養(くよう)

社会は、必要な職業をお互いに分担し合って成立しています。時代の変化、文化文明の発展によって、分業の程度の変化があり、職業の盛衰がありますけれども、役割を分担することによって成り立つのが社会の原理であることに変わりはありません。

身の周りを見回してみれば、人間一人の衣食住をまかなうのにも、たくさんの物資が必要であることに気づきますが、その生産は、ほとんど全て他人の手に依っています。それらの物品が揃わなければ非常に不自由を覚えますし、甚だしく不足すれば生活を維持すること自体が難しくなってしまいます。私たちの生活が成り立っているのは、他人が物を作ってくれるお蔭です。

自分も社会の一員として職業を分担し、収入を得、その収入によって必要な物を購入して生活を成り立たせているわけですが、それも社会が成立し、円滑に動いているが故です。ですから、社会を安らかにし、お互いが住みやすいようにすることは、私たちの共同の責任です。世の中から不幸な人がいなくなるように、協力して行かなければなりません。

そうした社会に導く仕事を分担しているのが、本当の宗教家、教育者、政治家などです。殊に、神仏と人間の橋渡しをし、世人の苦悩を救う宗教家の役割は小さくありません。宗教家は生産には携わりませんから、信徒の皆さんの布施、供養によって衣食住を得ます。それが、仏教を伝え、法華経をたもち、社会を支えることになるのです。

上聖文で、日蓮大聖人さまが供養の功徳を教えておられるのは、そうした意味合いです。もちろん、供養を受けるには、相応の資格がなければなりません。職業宗教家の中には、世の中を安らかにするどころか、宗教の仮面を被って弱き人たちを喰い物にしたり、お題目を騙って紛い物の教えを弘めているような輩がいます。その真偽を見分けて、本当の宗教家に供養すれば、世の中も安らかとなり、自らも成仏するのです。

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