今月の法話 平成28年の法話

今月の法話(平成28年5月)

かなかなはぬは御信心ごしんじんによりそうろうべし。まつた日蓮にちれんがとがにあらず。

『日厳尼御前御返事』
弘安3年(1280) 聖祖59歳作 全:p1348 定:2巻p1819

叶う叶わないは信心による

霊験をいただくのは、物を貰うのとは違います。お布施を納めて祈願を頼んだから、それで成就する、というわけには参りません。霊断師の祈願は、お取り次ぎです。叶う叶わないは、皆さん方ご本人のご信心によります。

信心とは、真心をもって祈る純情であり、信心の強弱とは、その熱心さの程度です。純情であり、熱烈であれば、邪悪な願いでない限りは神仏に感応道交かんのうどうきょうします。そう信じて疑わないところに、霊験が現れてきます。この道理を覚って、一心を通すのが祈願です。

倶生霊神符を着帯したから、自分に熱烈な信心がなくとも願いが叶うだろう、ご利益を頂戴できるだろう、と思うのは、信心の意味を理解していないからです。願いも叶いますし、ご利益も頂戴できますが、それは、皆さんの料簡次第なのです。

同じ倶生霊神符を着帯していても、ある人には不思議な利生があり、或る人には一向にご利益がないようなこともあります。神仏の守護にムラがあるのではなく、本人の信心にムラがあるのです。一番大切なのは、必ず心願が叶えていただけるという強固な信を持つことです。それは、平常の信仰によります。信仰は礼拝に始まります。朝に夕にご本尊さまへの礼拝を怠らず、真心をもって、ご宝前に荘厳・清掃し、供花・供物を捧げましょう。そして、日々に四誓願を実行し、できるだけ教団の維持に尽くし、他者を信仰に導いて聖徒団の発展を計り、聖徒の勤めを果たしてください。そこまでできる人であれば、いざという時に、たとえそれが少々無理な願いだとしても、叶えていただくことができるに違いありません。平時の信心がものをいうのです。

日蓮大聖人さまは、日厳尼からの依頼に対して、率直に信心の在り方を教えておられます。上聖文を含むお手紙は、短いものですし、前後があった方がご理解しやすいでしょうから、以下に全文を引いておきます。ご聖訓を味わってみてください。

弘安3年11月8日。尼、日厳の立申す立願の願書、並に御布施の銭一貫文、又たふかたびら(太布帷子)一つ、法華経の御宝前、並に日月天に申上候畢ぬ。其上は私に計り申すに及ばず候。叶ひ叶はぬは御信心により候べし。全く日蓮がとがにあらず。水すめば月うつる、風ふけば木ゆるぐごとく、みなの御心は水のごとし、信のよはき(弱)はにごる(濁)がごとし。信心のいさぎよきはすべる(澄)がごとし。木は道理のごとし、風のゆるがすは経文をよむがごとしとをぼしめせ。恐恐。

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