令和3年 謹賀新年
心と心の繋がりを大切に信行による安心立命の生活を
日蓮宗霊断師会相伝宗主
日蓮宗聖徒団首導
髙佐日瑞
明けましておめでとうございます。
令和3年の年頭に当たり、年賀のお祝詞を申し上げますとともに、全国の聖徒各位並びに霊断師各聖の本年のご多幸と各聖徒団のますますの隆昌を心よりお祈り申し上げます。
昨年は新型コロナウイルス感染症に全世界が翻弄されたと申しても過言ではない一年間でした。日本のみならず世界情勢が一変するほどの病禍には、皆さんも不安を抱き、身も心も縮んでしまうような自粛の日々を送ることを余儀なくされたのではないかと思います。各聖徒団におかれましても、盛運祈願会を始めとする各種行事に影響が出たことでありましょう。
そのような中、一旦は延期いたしましたが、全国結集身延大会第五十五回記念大会を無事に奉行することができましたのは、まさに皆さんのご信心の賜物かと存じます。私たちは、大会の円成を、闇夜を照らす満月のごとく、大きな希望として参りたいものです。
さて、世情を鑑みますと、どうやら本年も昨年同様忍耐の年になることが予想されます。コロナ禍については、ワクチンも開発され、徐々に光明が見えはじめておりますが、それも我が国に回って参りますのは時日を要しますでしょうし、そもそも諸外国に比べて日本の被害状況は微少なのですから、病況の深刻な国にワクチンが先に渡ることを受忍すべきであろうと考えます。といったことも思い合わせますれば、私たちの日常生活が恢復して来るのは、もう少し時間が掛かることになりそうです。
日蓮大聖人さまは『立正安国論』に「夫れ国は法に依て昌え、法は国に因て貴し。国亡び人滅しなば仏をも誰が信ず可き、法をも誰か信ず可きや。先づ国家を祈りて須く仏法を立つべし。」とご教示されておられます。
人が幸せになるのは、その人ひとりが幸福になるのではなく、社会全体が正しい法によって栄えて行く中に、国民一人ひとりの幸せが齎されるのである。だから、まず国家の安寧を祈らなければならない。という教えです。
疫病の流行という状況にあっては、自分一人が感染しなければ良いのではなく、共同体がまさに共同体としてその苦難を脱するのでなければ、自分の生活を守ることもまた容易ではないことを再認識している現在こそ、「立正安国」の祖願に改めて思いをいたすべきでありましょう。
コロナ禍にあって、人の物理的な接触は制限せざるを得なくなっていますが、人と人とが繋がることの大切さへの思いを、どれほどか深めさせられていることでしょうか(あの大震災の時とはまた違った意味で)。
忍辱の時を過ごしつつ、心と心の繫がりに思いをいたし、信行を加えて安心立命の生活を送り、いたずらに不安を煽られることなく、お題目の信仰を通じて安心を周囲の人に分け与えてくださいますようご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。