首導月訓 平成31年の月訓

首導月訓(平成31年3月)

◆日蓮仏教の目的は、「現世安穏後生善処」にある。すなわち、生きている間に幸福になり、生まれ変わってまた幸福を得ることである。

◆仏教は、教祖である釈尊が覚りをひらかれたことに始まった。必然として、その教えは智に傾いた。

◆救いをより必要とするのは、富める者よりも貧しき者であり、賢き者よりも愚かなる者である。覚りに始まった智の宗教である仏教が、愚かなる者の救いとはなりにくいのは必然でもあった。

◆日蓮大聖人さまは、釈尊の智を尊重されつつ、その大慈悲を「信」の一字に捉えられた。そして、真に一切衆生のための、賢き者よりも愚かなる者のための、以信代慧、信解脱の道をお拓きになられた。

◆「信」とは、神秘を素直に受け容れ、それに順う心である。誤解のないように申し添えれば、この「信」は、智慧の極致によって捉えられたものなのである。

◆日蓮仏教は、飢えたる者に食を与え、渇した者に水を与え、寒き者に衣服を与える道である。たとえ慧解の乏しい愚者であろうとも、「信」によって「現世安穏後生善処」の境地を得ることができる。

◆人間はみな、現世で(そして後生でも)、幸福になることを望んでいる。この願いを叶える唯一無二の方法こそが、南無妙法蓮華経の道を持ち、行い、護り、弘める「信」によって救われ護られる果報と、その果報への報謝である。

日蓮宗聖徒団首導 髙佐日瑞

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