◆人間の幸福を破壊するものは、貧乏、無知、懈怠、邪慳、病気、そして災難である。
◆貧乏を他人の所為にしていると貧乏のままである。働くことを嫌う者は貧乏である。智慧と技能の不足する者は貧乏である。浪費する者は貧乏である。貧乏を脱するには、心がけを改めて、世の中の役に立つ人になるに限る。
◆無知ほど怖いものはない。職業知識がなければ仕事はできない。人の道を知らなければ交際はできない。礼儀を知らなければ人格はできない。責任を知らなければ信用は得られない。恩義を知らなければ畜生同然である。人として生きて行く以上、人としての弁えを知らないと、必ず不幸になる。
◆懈怠は人生の敵である。懈怠とは、なすべきことをなさずにサボることである。学生が勉強を怠け、社会人が仕事を怠け、宗教家が布教を怠け、主婦が家事を怠け、政治家が政務を怠けたら、この世の中はどうなるか。懈怠は人生を不幸にする。
◆邪慳とは愛情のないことである。太陽は光を惜しまない。空気は料金を請求しない。風雨は、しばしば注文通りには行かないが、人間の方で然るべくすれば、恩恵を受け取ることができる。大自然は、愛に満たされている。一木一草もみな愛の姿である。人間だけが邪慳でいてよいはずはない。苦を楽にし、嘆きを喜びに変えるのが愛情である。
◆病気になりたい人はどこにもいない。だから、災難の一類である。災難は人間の力では防げない。信心だけがこれを防ぐ。努力で築き上げた幸福も、災難に無防備では一朝にして崩れ去る。