今月の法話 令和6年の法話

今月の法話(令和6年2月)


節分(せつぶん)(とし)()くる時節也(じせつ)なり。(中略)()(みぎり)祈祷(きとう)あれば(いし)(あめ)(ごと)く、鬼神(きじん)()にあたりて(ひと)(なやま)さず。

『時節到来抄』文永7年11月。聖祖49歳

節分(せつぶん)祈祷(きとう)

毎年、節分を迎えますと、お寺や神社で、有名人をゲストに呼んで豆まきをしている様子が報道されます。日蓮大聖人さまゆかりの寺院ですと、身延山久遠寺や東京池上本門寺、千葉県市川の法華経寺などがよく取り上げられていますね。いまや日本の季節風物詩ともなっている「節分」と「豆まき」。「節分」は文字通り「季節を分ける」という意味で、もともとは立春・立夏・立秋・立冬の各前日を言いましたけれども、現在では立春の前日を指す場合がほとんどです。

 「豆まき」の風習は室町時代ごろから行われていたようです。いわれは諸説ありますが、大豆や小豆などの穀物類は生命力が強いために、古来から「魔除け」の食べ物とされていました。ですからお祝い事のときに「赤飯」を炊くのも「魔除け」「魔が入ってこないように」との願いが込められているのでしょう。この穀物を鬼に向かって巻く(投げる)ことによって鬼(魔)を払い、鬼(魔)を滅して一年の息災を祈るようになったのです。

 大聖人さまが節分について触れておられる御遺文はあまりありませんが、折角の機会ですので、『日蓮聖人御遺文 全』や『昭和定本 日蓮聖人遺文』には収録されていない取って置きの祖文をご紹介しましょう。表題の聖文は、『本満寺録外』や『日朝本』などにのみ伝わっているものです。

 「節分は一年を分ける時節です。この時に法華経のご祈祷をすれば、石が雨のように鬼神の目を打ち、人々に悪さをしなくなります。」

 この大聖人さまのご教示を私たちが信受するとき、節分という節目に、法華経のご祈願ご祈祷を受けることにより、ご利益をいただくことが出来ることが分かりますね。

 大聖人さまの頃の暦(旧暦)ですと、今とは少し時節が異なり、節分は、年始または年末の行事であったことから、「年を分くる時節」に安穏な一年を過ごすための祈りの機会とされていたのでしょう。

 なお、法華寺院では豆まきの際、「鬼は外」とは言わずに「福は内」の掛け声だけで豆を撒く場合もあります。これは法華経陀羅尼品に「鬼子母神さま」が守護神として登場するからです。鬼と言っても、私たちを守ってくださる善い鬼もいるのですね。

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