安産祈願の若夫婦
5月末に厚労省より、コロナ禍で少子化が一気に進んだと発表がありました。出産控えや、婚姻先送りが原因だそうです。
ことわざに「子に過ぎたる宝なし」とありますが、昨今は少子化が問題にされています。今回は、そんな中でも、安産祈願のために、お寺にお参りになり、不思議な体験をされた、ご夫婦のお話です。
初めての出産の奥さま、達ての希望で、無事に産まれて来て欲しい、とのお参りでした。ご主人はというと、初めてお参りに来られ、何となく奥さまに付いて来られた様子。
腹帯に安楽産福子の文を記して、ご祈願のお経をはじめました。ご夫婦に加持祈祷をするために振り返ると、奥さまは、静かに手を合わせておられました。ところが、隣のご主人はというと、頬に汗が伝い流れ、上着は汗でびっしょり、汗だくになりながら、手を合わせ、小さな声ですがお題目を一生懸命唱えておられました。その様子に、奥さまと産まれてくるお子様の事を大切に願われているんだなと、関心しました。安産祈願のお経も終え、ご夫婦とお茶を頂いている時に、ご主人に先ほどの一生懸命に手を合わされていたことをお聞きしました。奥さまも、ご主人の手を合わせている様子に驚かれたそうです。
ご主人は「お経が始まり、何を思うでもなく座っていると、右前の壁から三歳くらいの女の子がスッと現れ、僕の方をじっと見つめるんです。何かの見間違いと、目を擦ってみても、はっきりとその娘のイチゴの髪留めやスカートの可愛い柄まで見えるんです。その娘はいつまでも静かに私の事をじっと見つめているので、怖いというか、何をどうしていいか分からず。今日は安産のお願いに来たのだからと、妻の健康と、無事に子供が生まれてくるようにと、お寺さんを真似て、必死でナムミョウホウレンゲキョウと唱えました。気付くとその娘の姿はありませんでした」と話されました
そのお話を聞き、ご主人に、これから父親となられるのだから、今より自覚をもって奥さまと共に出産に向かって欲しいという仏さまからのメッセージですね、とお話しました。
ご主人は参拝以来、寝る前など、折に、妻と産まれてくる子を想い何も分からないが、只、お題目を信じ唱えたそうです。その後無事に、かわいい女の子を出産されました。出産後、お礼参りに来られ「娘のお陰で、不思議な体験をし、お題目の有難さが少し分かりました」と喜ばれていました。
耆婆の妙薬
「問う、その義を知らざる人、ただ南無妙法蓮華経と唱て解義の功徳を具するやいなや。答う、小児乳を含むに、その味を知らざれども自然に身を益す。耆婆が妙薬、誰か弁てこれを服せん。水心なけれども火を消し、火物を焼あに覚あらんや。 ―中略― 妙法蓮華経の五字は経文にあらず、その義にあらず、ただ一部の意のみ。初心の行者その心を知らざれども、しかもこれを行ずるに、自然に意に当るなり。」『四信五品鈔』
初めてお寺に来られ、何も分からずに只々、南無妙法蓮華経と必死になって唱えられたご主人。奥さまも無事に健康な娘さんを授かり、この無事の出産は、お題目のお陰と喜ばれました。
「初心の行者その心を知らざれども、しかもこれを行ずるに、自然に意に当るなり」とお教えの通り、お題目の意味は理解できなくとも、信じさえすれば、南無妙法蓮華経の真意をおのずと体得することができるのです。
悩み事や願いごと、お題目にご縁をいただけるのは、人それぞれ違いますが、何方であっても、お題目を只々信じ唱え続けることが大切なのです。
まだまだ生活に規制がかかり、過ごしにくい毎日が続きます。お題目は仏さまが生きる私達に授けて下さった良薬です。倶生霊神符を着帯し、お題目を信じ唱えて参りましょう。